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危機介入アプローチとはなにか?特徴についてわかりやすく具体例と事例を紹介!提唱者は、リンデマンとキャプランが有名

実践中

今回は、ソーシャルワークにおける危機介入アプローチに焦点を当てて説明します。

この記事を読むと

  • 危機介入アプローチについて理解できる
  • 危機介入アプローチの介入技法について理解できる
  • 危機介入アプローチの実践事例と特徴について理解できる
ビシア

危機介入アプローチって緊張感のあるネーミングだね

羽毛さん

危機介入が必要な事例では使うことになるよ。

目次

危機介入アプローチの特徴をわかりやすく


危機介入アプローチとは何か?

危機介入アプローチは、個人が直面する急性の心理的ストレス状態や危機的状況に対処するための社会福祉の実践方法です。

このアプローチの目的は、危機に陥った人々が自己の能力を最大限に活用し、状況を乗り越える手助けをすることにあります。

では危機的な状況とはどのような状況でしょうか?

危機は、自然災害、家族の死、失業など、予期せぬ出来事によって引き起こされることもあれば、人生の変転期に伴うストレスから生じることもあります。このアプローチでは、短期間で集中的な支援を提供することによって、危機に直面した人々が現状を打開し、将来に向けて前向きなステップを踏み出すことを目指します。

危機介入は、個々の危機の状況やニーズに応じた柔軟な対応が求められます。そのため、社会福祉士は、クライアントとの信頼関係の構築、適切な情報の提供、心理的サポート、そして必要に応じて他の専門機関へのつなぎ役としての役割を担います。

さらに、危機介入アプローチでは、クライアントが自身の力で問題解決できるよう、能力強化にも焦点を当てます。

自然災害、家族の死など予期せぬ出来事に対応するアプローチ!

危機介入アプローチの提唱者はキャプランとリンデマンとアギュララ

キャプラン

危機介入アプローチの歴史は、20世紀中頃にさかのぼります。

この分野の先駆者であるジェラルド・キャプランは、精神衛生運動の中で危機介入の概念を提唱しました。

キャプランは、危機が個人の生活において重要な転換点となり得ると考え、適切な介入によって人々がより強く、より健康になる機会を持つことができると信じていました。

とっても人間について前向きな価値観を持った人だったようですね。

彼の理論は、危機が心理的な変化をもたらす重要な時期であるという考えに基づいています。

皆さんも「ピンチはチャンス」って聞いたことありませんか?

つまり、危機は破壊的なものだけでなく、成長と発展のチャンスを提供するものとしても見ることができるのです。

キャプラン以降、多くの研究者や実践家が危機介入アプローチをさらに発展させてきました。これには、危機介入モデルの開発や、特定の危機状況に対する特化した介入手法の確立が含まれます。

危機介入アプローチの提唱者たちは、危機の瞬間を単なる困難や挑戦と捉えるのではなく、個人の成長と発展の機会として捉えることの重要性を強調しました。そのためには、専門家による適切な介入が不可欠であり、その役割は単に問題を解決することだけではなく、クライアントが自身の内なる強さを見出し、未来に向けて前進する手助けをすることにもあるのです。

キャプランは危機的状況を成長と発展のチャンスとみなした!

リンデマン

また、エーリヒ・リンデマンは非常に重要な役割を果たしました。リンデマンは、1940年代にマサチューセッツ州ボストンで起きたココナッツグローブナイトクラブ火災という悲惨な事件後の生存者や遺族のケアに関わり、その経験を通じて危機介入の基礎を築きました。

リンデマンは、危機に直面した人々が経験する共通の感情や反応を観察し、それらをサポートするための具体的な方法を提案しました。彼は、喪失や悲嘆に直面した人々が適切な支援を受けることで、その危機を乗り越え、新たな生活へと進むことができると考えました。リンデマンの研究と実践は、危機介入の分野における最初の体系的な取り組みの一つとして、後の研究者や実践者に大きな影響を与えました。

リンデマンの仕事は、危機介入アプローチが単に短期間の介入にとどまらず、個人が自己の感情や反応を理解し、それに対処するためのスキルを身につけることを目指していることを示しています。

彼は、危機介入が人々の生活において重要な転換点となり得るという見方を提唱し、その後の多くの研究者や実践者に影響を与えています。

アギュララは超重要なので後述します。

危機介入アプローチの特徴

逆転的経験と人生の発達過程

人生は常に変化しています。その変化の中で、私たちは多くの経験をしますが、その中には人生の通常の流れを逆転させるような衝撃的な出来事も含まれます。逆転的経験は、人の生活や心理状態に大きな影響を及ぼすことがあり、これが危機介入アプローチの出発点となります。

例えば、愛する人を失ったり、重大な病気に見舞われたりすることは、人生の発達過程において重要な転換点となり得ます。

このような逆転的経験は、人が自己のアイデンティティを再評価し、人生の意味を再構築するきっかけともなります。危機介入アプローチでは、このような経験を通して個人が直面する困難に対処し、成長する機会を提供することを目指しています。

回避できないストレスで危機を経験

危機介入アプローチの核心的な部分は、回避不可能なストレス状況に直面したときの人々の反応を理解し、サポートすることにあります。人生には予期せぬ出来事や避けられない困難がつきものであり、これらの状況はしばしば深刻なストレスを引き起こします。職を失う、重大な病気にかかる、自然災害に遭うといった出来事は、人々が通常の対処能力を超えたストレスを経験する原因となります。危機介入アプローチでは、このような状況において、個人が自己の感情や反応を理解し、適切な対処方法を見つける手助けをします。このプロセスを通じて、個人は自身の内面的な強さを発見し、困難に対処する能力を高めることができます。

危機の経験と深いダメージ

危機を経験することは、個人の心理的な健康に深刻なダメージを与える可能性があります。突然の損失やトラウマは、強烈な悲しみや不安、孤独感を引き起こし、これらの感情は時に人を圧倒することがあります。危機介入アプローチでは、このような深いダメージに対処するために、個人が自己の感情を理解し、それらを健康的な方法で表現するサポートを提供します。目的は、危機を乗り越え、個人が再び平穏な日常生活へと戻ることができるようにすることです。また、危機介入は、危機を経験した人々が自己の感情や反応を理解し、将来的な困難に対処するための新たなスキルを学ぶ機会も提供します。

これらの特徴を踏まえると、危機介入アプローチは、個人が危機の瞬間に直面する深刻な課題に対処するための重要な支援手段であることがわかります。それは、単に危機を乗り越えるだけでなく、その過程で個人が成長し、将来的な困難に対処するための強さを内面から発見する手助けをするものです。

危機介入アプローチの支援展開と私の事例・具体例

危機介入アプローチの支援展開の実際

まずは、危機的状況の「見極め」をします。いわゆるアセスメントとなります。通常のアセスメントと異なるのはいかに危機的状況であるかということに焦点化することです。

次にクライエントに「感情の表出」をしてもらいます。

危機的状況では、人には言いたくないこと、恥ずかしいこと、怒りが湧いていることなど様々な感情が渦巻き、クライエント自身も自分の感情が理解できていないことがほとんどです。そのため、ゆっくりと焦らずクライエントのペースで表出してもらいます。

「感情の表出」の次は「現実の認知」です。どんな危機的状況で困難な状況でも、クライエントの生活はとまりません。現状がすぐに好転するこということもほとんどないでしょう。そのため、このプロセスでは現実を受けてもらうこととなります。もちろん、すぐに「はい、そうですか。わかりました」ということにはなりません。そのため、適宜感情を表出してもらいつつ、現状についても目を向けてもらうことが重要です。

最後に「対処能力」と「社会的サポート」となります。人によって、対処能力には差があります。

例えば、気持ちを落ち着けることが早い人、遅い人。

計画を立てることが早い人、遅い人。

人と仲良くなることが得意な人、不得意な人。

実に様々です。このような様々な特性に合わせて対処能力の調整・向上、対処の方法の模索をしていきます。

そして、最後に「社会的サポート」をつなげて、支援を実施していきます。

私の体験と実践事例

ある大きな自然災害の被害を被り、腰痛骨折で入院になってしまった方がいました。

この方の問題はその病気に加えて、自営業のお店を続けることができないくらいお店の建物に被害がでてしまったことです。

まずは通常の支援のとおり、急性期加療後のリハビリ病棟への転院支援をしました。それと同時に危機介入アプローチを実施しました。

自営業ができないことの喪失感がとても大きかったためまずはじっくりと、現状について気持ちを表出してもらいました。毎日同じ話しやどうしようもないやり場のない怒りに私は向き合いました。どれだけその事業が大事だったか、誇らしかったか、楽しかったか語ってもらいました。

当初「絶対自営業は再開できない」と決めつけていました。私も安易なことは言えいないですし、会社経営をしたことがないので感覚をつかむことすら困難でした。

「絶対できない」から

「すぐには再開できない」へ変わり、

最後は「誰かが再開してくれればうれしい」というように変化していきました。

もともとなのか支援をしているうちに変わったかわかりませんが、未来志向が強い方だったように思います。また、幸いにも何事もにサポーティブな家族な方がいました。

そのためリハビリ病棟への転院を支援の中核としつつ、同時に「自営業への向き合い方を考える」ということも支援目標としました。私が実施できた支援は僅かな時間でしたが、退院時は「あなたのおかげで先がみえた」と言われたことは嬉しかったです。

危機モデルには段階があるので、段階にそって面接を構築できました。まさにアプローチを使うとはこのことだと理解できた瞬間です。

危機介入アプローチをわかりやすくまとめると

危機介入アプローチは、急性の心理的ストレスや危機に対処する社会福祉の方法で、個人が自己の能力を活用して状況を乗り越える手助けを目的とします。このアプローチは、個人の危機に応じて柔軟な対応を行い、クライアントの能力強化に焦点を当てます。ジェラルド・キャプランやエーリヒ・リンデマンなどの提唱者は、危機を成長のチャンスと捉え、適切な介入により個人が内面から強くなることを目指しました。支援展開では、危機的状況のアセスメント、感情の表出、現実の認知、対処能力と社会的サポートの向上が重要です。

まとめ

  • 危機介入アプローチは、個人が急性の心理的ストレスや危機的状況に対処するための社会福祉実践方法である。
  • 目的は、危機に陥った人々が自己の能力を活用し、状況を乗り越える手助けをすることである。
  • 危機は自然災害、家族の死、失業など予期せぬ出来事や人生の変転期に伴うストレスから生じる。
  • 短期間で集中的な支援を提供し、将来に向けて前向きなステップを踏み出すことを目指す。
  • 個々の危機の状況やニーズに応じた柔軟な対応が求められる。
  • 危機介入アプローチの提唱者にはキャプラン、リンデマン、アギュララがいる。
  • 危機介入は、個人が危機の瞬間に直面する課題に対処し、成長する機会を提供する。
  • 支援展開は、危機的状況の「見極め」、クライエントによる「感情の表出」、そして「現実の認知」から始まる。
  • 「対処能力」と「社会的サポート」を通じて、個人の自己回復力を高める。
  • 危機介入アプローチは、単に危機を乗り越えるだけでなく、その過程で個人が内面から成長し、強くなる手助けをするものである。
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