今回は、ソーシャルワークにおけるケアマネジメントに焦点を当てて説明します。
この記事を読むと
- ケアマネジメントについて理解できる
- ケアマネジメントの理論的背景について理解できる
- ケアマネジメントの実践事例と特徴について理解できる
どこもかしこもケアマネジメントだよね
もしかしたらソーシャルワークのなかで一番有名な技術・理論かも
ケアマネジメントとは何か?わかりやすく説明します
ケアマネジメントはケアをコーディネートするイメージです!必要性が高い!
一般的にケアマネジメントとは、介護や支援を必要としている人に対して、その人の生活状況や心身の状況を踏まえて、その人の希望に沿った生活を送れるよう、様々な介護サービスを総合的に活用するプロセス、といえます。
つまり、ケアマネジメントする人が、その人の状況を把握し、必要なサービスをうまく組み合わせて提供することで、その人の自立した生活を支援するのがケアマネジメントの目的なのです。
サービスを組み合わせて対象者の生活を支える。指揮者とか監督のイメージ
障害者の場合も同様で、ケアマネジメントは障害者の尊厳と社会参加の機会を保障することを目的としています。障害者が地域で自立した生活を送るために、様々なサービスを総合的かつ効率的に活用し、課題解決を図るプロセスなのです。
障害者の「自己決定」と「自立」を支えることで、その人の尊厳を実現するのがケアマネジメントの役割なのです。
つまり、ケアマネジメントは、介護や支援を必要とする人の自立した生活を支援するために、その人の状況に合わせて最適なサービスを見つけ出し、提供するプロセスなのです。
ケアマネジメントの流れ・プロセス
ここではわかりやすく介護保険制度を例にみてみますね。
介護が必要になったと思ったら行政や地域包括支援センターへ申請します。
認定調査をしてもらいます。
介護度が決定します。
ケアマネジャーを決めて、どのようなサービスが必要なのか一緒に考えて、必要なサービスを検討します。例えば月曜日はデイサービスで、火曜日は訪問介護で…みたいな感じです。
あれこれをサービスを決めることが介護保険のケアマネジメントといえます。
計画をしたサービスを実際に利用していきます。
サービスを使用した生活でクライエントの生活が上手くいっているか確認します。うまくいっていないようでしたらサービスの組み替えを検討します。
ケアマネジメントで大切なこと
ストレングスの視点で対象者をみる
高齢者は時間の経過とともに身体は弱っていく存在です。老化から逃げることができる人間はいません。そのような観点で考えると高齢者支援はこれもできない、あれもできない。
これもできなくなった、あれもそろそろ難しい
「歩くのは危ない」
「火を使うのは危ない」
など、できないことに支援がいきがちです。
でもよくよく考えてみてください。
本当に高齢者はそんなに「弱い」存在でしょうか?これはじっくりとクライエントと向き合っている支援者であれば、
「否」
といえるではないでしょうか?
だからこそ少し無理やりにでもプラスの視点、すなわちストレングス視点で高齢者を視ることが大切なのです。
「昨日より体幹が少しだけ安定したな」
「この1週間で食事の量が増えたな」
なんでもいいんです。失われたものではなく、今そこにある素晴らしいことや変化に着目してみてください。
家族支援の視点をもつ
意地悪な見方をすると介護保険制度におけるケアマネジメントは家族を支援する必要はありません。
でも、福祉に携わる方ならこの論法がおかしいことにすぐに気が付くはずです。同じ家族でこちらを支えるけど、こちらは支えないなんて本来あってはいけないことです。
アセスメントの視点から考えてもそんなアセスメントは成り立ちません。
介護受ける本人も大変かもしれませんが、それを支える家族も心身ともに大変です。
であれば、ケアマネジャーは家族「も」支えるのは当然です。
もし、あなたが家族で、「うちのケアマネは全然話を聞いてくれない」のであればケアマネを変えたほうがいいでしょう。ケアマネが忙しいのは事実ですが、社会人で暇だよーという人はほぼいません。
本人の話はもちろんのこと、家族の話を聞くケアマネを探してくださいね。
ケアマネジメントとソーシャルワークの関係
ケアマネジメントとソーシャルワークは違うのか?
答えは違うともいえるし、同じともいえる、です。
…これは読んでくださっている方に失礼な回答ですね。もう少し丁寧に説明します。
もともとはソーシャルワークの一技術としてケアマネジメントが存在しています。そのため、クライエントを含めた社会全体を支援するという特徴があります。
ところが日本では、介護保険が導入されたときにケアマネジメントの「個別支援のみ」導入されました。
クライエントにいくつかのサービスを組み合わせて提供するという点は共通していますが、介護保険のケアマジメントには社会を変革をするという広がりはありません。
卓越した介護支援専門員は社会変革も視野に入れていますが、制度上に社会変革は入っていないという意味になります。
これほどまでに社会に介護保険が浸透するとケアマネジメント=介護保険というのも仕方ないかもしれませんし、一般的には介護保険を指すといっても過言ではない状況です。
介護保険制度でみるとケアマネジメントとソーシャルワークは切り分けられている。
ソーシャルワーク理論でみるとケアマネジメントはソーシャルワークの一部
ケアマネジメントと多職種連携
ケアマネジメントで重要なことは多職種で連携を取りながらクライエントをささえることです。
具体的には、医療・介護・福祉の分野で働く看護師、理学療法士、栄養士など、異なる専門性を持つ職種が協力して、高齢者の状況に合わせたケアを提供することです。これは単なるチームアプローチとは異なり、お互いの知識や技術を活かしながら、共通の目標に向けて取り組むことが特徴です。
ケアマネジャーはこの多職種連携の中心的な役割を担います。
ケアプランの作成や外部の専門家との調整、家族との連絡など、ケアマネジャーが適切に行うことで、高齢者の状況に合わせた最適なケアが提供できるのです。
ケアマネジメントをわかりやすくまとめると
ケアマネジメントとは、介護や支援を必要とする人が自立した生活を送れるよう、生活状況や心身の状態に基づいて最適なサービスを総合的に提供するプロセスです。具体的には、介護保険制度の場合は、介護認定の申請、認定調査、介護度の決定、その後のケアプランの作成とサービスの利用開始、モニタリングを含みます。支援者は、サービスの選定・調整を行い、クライエントとその家族を支援します。重要なのは、対象者の強みを見つけ、家族も支援することです。また、多職種連携も重要で、医療・介護・福祉の専門家が協力し、最適なケアを提供します。ケアマネジメントは、ソーシャルワークの一部として位置づけられ、日本の介護保険制度において重要な役割を果たしています。
まとめ
- ケアマネジメントとは:介護や支援を必要とする人の自立した生活を支援するため、最適なサービスを見つけ出し提供するプロセス。
- 目的:生活状況や心身の状態を踏まえ、希望に沿った生活を送れるようにすること。
- 家族支援:介護を受ける本人だけでなく、支える家族も支援することが重要。
- ケアマネジメントとソーシャルワーク:ケアマネジメントはソーシャルワークの一技術として存在。日本では介護保険の導入時に個別支援のみが導入された。
- 多職種連携:医療・介護・福祉の分野で働く異なる専門職が協力してケアを提供。
- ケアマネジャーの役割:多職種連携の中心的な役割を担い、ケアプランの作成や外部専門家との調整を行う。
- クライエントの尊厳と自立:障害者の場合、尊厳と社会参加の機会を保障することが目的。
- 社会変革:卓越した介護支援専門員は社会変革も視野に入れているが、制度上は含まれていない。
- ストレングス視点:高齢者の持つ強みや現在の素晴らしい変化に着目する。