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【福祉領域】エンパワメントアプローチとは?簡単にわかりやすく意味を説明します!具体例・事例あり!

今回は、ソーシャルワークの理論とアプローチについて焦点を当てていきたいと思います。

この記事を読むと

  • 福祉のエンパワメントについて理解できる
  • エンパワメントアプローチの歴史について理解できる
  • エンパワメントアプローチの提唱者について理解できる
  • エンパワメントアプローチの具体例や実践事例について理解できる
ビシア

エンパワメントアプローチは使うの?

羽毛さん

今はエンパワメントアプローチが主流じゃないかな

目次

福祉領域におけるエンパワメントアプローチについて簡単にわかりやすく

エンパワメント

エンパワメントの意味と起源

エンパワメントアプローチとは、個人やコミュニティが自らの力を発揮し、自律性や自己決定を高めていくプロセスを支援する考え方です。このアプローチの根底にあるのは、個人が持つ潜在能力の最大化と、それを通じての問題解決や生活の質の向上です。

起源を遡ると、エンパワメントの概念は1970年代に社会学や心理学のフィールドで初めて使われ始めました。しかし、その根本的な思想は、それよりもずっと前から存在していました。

人々が自己決定し、自分たちの運命を自分たちの手で握るというアイデアは、民主主義や社会正義の運動において長い歴史を持つテーマです。

エンパワメントは、ただ単に能力を高めることだけではありません。それは、個人が自らの環境や状況に対してより大きな影響力を持ち、自分たちの目指す方向へと進んでいく力を得ることを意味しています。

この考え方は、特に社会福祉、教育やビジネスなどの分野で重要視されています。

エンパワメント 提唱者

社会福祉領域ではソロモンが最も有名です。

バーバラ・ソロモンは、ソーシャルワーク分野におけるエンパワメント理論の先駆者であり、特に利用者の自己決定と自己実現能力を高めることに焦点を当てた重要な貢献をしました。彼女は、社会福祉の実践が単に支援や援助を提供するだけでなく、利用者が自らの力で問題を解決できる能力を高め、より良い生活を実現するための道具となるべきだと主張しました。

この考え方を通じて、ソロモンはソーシャルワークにおけるエンパワメントの概念を強化し、社会福祉専門家が対象者との関係性で力のバランスをどのように考慮すべきか、またどのようにして対象者の自己効力感を支援し向上させることができるかについての指針を提供しました。

バーバラ・ソロモンの業績は、社会福祉の実践において利用者が主体的な役割を果たし、自らの状況改善に向けて行動できるようサポートする重要性を明確にしました。

彼女のアプローチは、利用者が直面している課題や問題に対してただ解決策を提供するのではなく、利用者が自身の強みや資源を認識し、それらを活用して自ら問題解決の主体となる能力を培うことを重視します。ソロモンにとって、エンパワメントは多様性と公平性の観点からも重要であり、特にマイノリティや社会的にマージナライズされたグループの自己決定権と社会参加を促進する手段として力を持っていました。

バーバラ・ソロモンの研究と実践は、今日のソーシャルワーク分野においてもなお、個人とコミュニティの能力を高め、より公正で包括的な社会を実現するための基盤となっています。彼女の理論と実践は、社会福祉学だけでなく、教育、健康、コミュニティ開発といった他の分野においても広く適用されており、多くの専門家に影響を与え続けています。

エンパワメントアプローチ 四つの次元

個人の次元

エンパワメントの考え方を個人の生活や成長に適用すると、ここでは個人が自身の人生において力を持ち、自己決定を行い、自らの目標達成に向けて力を発揮できるよう支援することが重要視されます。

この次元では、個人の自己効力感、すなわち、自分の行動が結果に直接的に影響を及ぼすという信念を高めることが中心になります。個人が自己の能力を信じ、問題解決や目標達成に向けて積極的な姿勢を取ることができるようにすること。それには、目標設定のスキルやリーダーシップの育成、コミュニケーション能力の向上などが関わってきます。

また、失敗を恐れずに新しい挑戦を試み、その過程で得られた学びを次の行動に活かす能力も、個人のエンパワメントを促進します。

対人の次元

個々の関係性や相互作用の中で力をつけ、相手を育てていくプロセスに焦点を当てたものです。この次元では、コミュニケーションの技術、相互尊重、感情の共有と理解が特に重要視されます。人と人との関係において自己効力感を高めることで、個人はより自信を持つようになり、目的達成へのモチベーションが向上します。

対人関係におけるエンパワメントは、個人間の相互作用を通じて、自立した思考や行動、自己決定を促進することで実現されます。これには、相手の立場や価値観を理解し尊重すること、能動的な聞き手であること、建設的なフィードバックを提供することが含まれます。また、相手の意見や感情を大事にすることにより、相手の自尊心を高め、自分自身との関係を築く上での自信を育てます。

コンフリクトや誤解が生じた場合には、理解を深めるための対話を促し、相手が自身の感情や考えを表現できるように支援します。これは、相互の信頼関係を築き、より良いコミュニケーションを通じて問題解決に導くことにも繋がります

組織の次元

組織の次元では、エンパワメントがクライエントやメンバーの能力向上、組織の効率性と創造性の促進に寄与する概念として扱われます。組織内でのエンパワメントプロセスには、権限の委譲、参加的意思決定、個々の責任と自律性の促進が含まれます。クライエント自身がにおいて重要な決定を下す機会を持ち、その結果としての成果や失敗に対して責任を持つようにすることで、職場の満足度やモチベーションが高まります。

また、このプロセスは、組織内での革新や改善の動きを生み出し、組織全体としての競争力を高める効果があります。

社会/政策の次元

エンパワメントの社会/政策の次元は、広い視点から社会全体にエンパワメントの理念を適用し、政策立案や実装の過程において市民や集団が参加し、影響を及ぼすことを目指します。この次元では、社会的な排除や差別に立ち向かい、平等な機会の提供を促進する政策の策定が重要になります。政策決定の過程において、マイノリティグループや弱者の声が聞かれ、それらの声が政策に反映されることで、より公平で包摂的な社会が構築されます。また、公民権の保証、教育や健康、経済的機会へのアクセスの改善など、幅広い分野でのエンパワメントが追求されます。

エンパワメントアプローチの私の具体例・事例

エンパワメントアプローチの実践例を見てみましょう。例えば、地域コミュニティを活性化させたいとき、住民自らが地域の課題を発見し、解決策を考えるプロジェクトが考えられます。

これには、住民が主体となって意見交換の場を持ち、実際に行動を起こすことが含まれます。支援者は、その過程で必要なスキルの提供や情報の提供を行い、住民が自分たちの力で成果を出せるように後押しします。

若年ホームレスの事例

一つ私の経験談をお伝えします。(大幅な修正をして個人が特定できないようにしています)

若年のホームレスの方を支援したときのことです。その方は「もう自分はどうなってもいいし、生きている意味はない」と話しをしていました。まずはゆっくりと傾聴をして落ち着いたところで、あなたは一人の価値のある人間であるということを伝えて理解してもらえるように努めました。

最初は聞いてもらうことができず、何も関係性も進展せず、私にとっては苦しい日々が続きました。しかし、ふと思い返すと、一番苦しいのはクライエントだということでした。

ラポール形成ができたと感じることができたその後

こんな簡単なことに気がつかず恥ずかしい限りですが、このことに気が付いてからは、だんだんとラポール形成ができるようになったと思います。

しばらくして、自分には生きても良いという権利があることを理解してもらうことができ、自らの意志で、支援団体に支援を求めることができるようになりました。

ソーシャルワーカーはなんでもかんでも資源と結びつけることだけが仕事ではありません。まずはクライエント自身が自らの意思で動くことができるようになることを支援してそれこそがエンパワメントであるという事例でした。

サマリー

エンパワメントは個人やコミュニティが自らの力を発揮し自律性を高めるプロセスを指し、1970年頃に使われ始めた概念です。個人の潜在能力を最大化し問題解決や生活質向上を目指し、社会福祉、教育、ビジネスなど様々な分野で応用されています。特にソロモンはこの分野で重要な貢献をし、利用者の自己決定と実現能力を重視しました。エンパワメントには個人、対人、組織、社会/政策の四つの次元があり、各々で自己効力感の強化、相互尊重、権限委譲、社会的参加と影響がキーポイントとされています。これにより、より公正で包括的な社会構築への貢献が期待されています。


箇条書きでまとめます

  • エンパワメントアプローチとは、個人やコミュニティの自律性や自己決定を支援する考え方。
  • 起源は1970年代、民主主義や社会正義の運動に根差す。
  • バーバラ・ソロモンは、ソーシャルワークにおけるエンパワメント理論の先駆者。
  • 個人の次元:自己効力感やリーダーシップ、新しい挑戦への積極性が重要。
  • 対人の次元:相互尊重、感情の共有と理解、コミュニケーションの技術が中心。
  • 組織の次元:権限の委譲、参加的意思決定、自律性の促進が促される。
  • 社会/政策の次元:政策立案における市民参加、社会的排除や差別に対する取り組み。
  • エンパワメントは、個人だけでなくコミュニティや社会全体に適用される。
  • 目標設定のスキルや問題解決能力の向上が個人のエンパワメントを促進する。
  • エンパワメントアプローチは、社会福祉、教育、ビジネス等、多様な分野で重要視される。
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