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心理社会的アプローチといえばホリス!介入技法の具体例と特徴をわかりやすく説明します

実践中

今回は、ソーシャルワークにおける心理社会的アプローチに焦点を当てて説明します。

この記事を読むと

  • 心理社会的アプローチについて理解できる
  • 心理社会的アプローチの介入技法について理解できる
  • 心理社会的アプローチの実践事例と特徴について理解できる
ビシア

心理社会的アプローチって今でも使うの?

羽毛さん

単独で使うことは少ないかもね。アプローチをミックスして使うよ

目次

心理社会的アプローチは提唱者ホリスから始まった


心理社会的アプローチの基本理念と理論的背景

心理社会的アプローチは、個人が置かれている社会的環境とその心理的側面の両方を考慮に入れることに重点を置いています。このアプローチの根底には、人々が自分たちの社会的環境にどのように反応し、また、その環境が人々の心理にどのように影響を与えるかという相互作用があります。

心理社会的アプローチは、社会的側面だけでなく、個人の内面的な世界も重視します。このアプローチを通じて、社会福祉士は、クライアントの問題をより深く理解し、より効果的な支援を提供することができるのです。

このアプローチは、20世紀初頭に心理学と社会学が結びつき始めたころに根ざしています。特にピアジェのような心理学者は、人間の発達を理解する上で発達心理学を重要視しました。心理社会的アプローチはこのような理論に基づき、個人が直面する問題を多面的に捉え、その解決を目指すものです。

重要な理論家とその貢献:ホリスの役割

心理社会的アプローチを理解する上で欠かせない理論家の一人がフローレンス・ホリスです。ホリスは、このアプローチの基礎を築いた人物として知られています。彼女の貢献は、特に個人の内面的なプロセスと外部環境との間の動的な相互作用に焦点を当てたことにあります。ホリスは、社会福祉実践における心理社会的モデルの使用を提唱し、個人の問題に対処する際には、その人が置かれている社会的状況と内面的な心理的プロセスの両方を考慮に入れるべきだと主張しました。

ホリスの理論は、クライアント一人ひとりの独自性を認識し、その人の生活環境、家族関係、社会的ネットワークなど、さまざまな要因を総合的に評価することの重要性を強調しています。

彼女はまた、個人が自己実現を達成する過程で直面する障害に焦点を当て、これらの障害を乗り越えるための支援を提供することの大切さを説きました。ホリスのこのような考え方は、今日の社会福祉実践においても大きな影響を与えており、クライアントに対するより包括的で寄り添う形の支援の提供につながっています。

ホリスの理論は、心理社会的アプローチの実践において中心的な役割を果たしています。

彼女の業績により、社会福祉士やカウンセラーは、クライアントの問題をより深く理解し、より効果的な介入を行うための理論的な基盤を得ることができました。ホリスの貢献は、人々が直面する複雑な問題に対して、より人間中心のアプローチを取ることの重要性を教えてくれます。

心理社会的アプローチの介入技法

受容と自己決定

ソーシャルワークにおける心理社会的アプローチでは、クライアントの抱える問題や困難に対して、その人の社会的環境や心理的側面を総合的に理解し、支援を行います。このアプローチの中でも特に重要なのが「受容」と「自己決定」の2つの概念です。これらは、クライアントが自己の問題に向き合い、解決へと進むために不可欠な要素となります。


受容とは、クライアントが持つ感情や考え、経験を、条件なしで認めることです。ソーシャルワーカーは、クライアントが自分の話をオープンにできる安全な場を提供します。この場において、クライアントは自分自身を正直に表現することができ、その表現は全て受け入れられます。

クライアントが自身の問題について話す際、批判や評価を恐れることなく、自分の感情や考えを開示できることは、心理社会的アプローチにおいて非常に重要です。この受容の態度を通して、クライアントは自己受容の力を育み、自己の価値や能力を再認識することができます。また、問題や困難に対する新たな視点を得ることが可能になります。


自己決定とは、クライアントが自らの選択と決定を尊重され、自分の人生における重要な決断をする権利を持つことです。ソーシャルワーカーは、クライアントが自分自身の人生における目標や望みを設定し、それらを達成するための支援を提供します。

自己決定は、クライエントが自己の問題に対して能動的に取り組むことを促します。クライエントが自分の選択に責任を持ち、自己の行動をコントロールすることは、自尊心や自己効力感の向上につながります。また、自己決定を促すことは、クライエントが自分自身の人生において主体的な役割を果たすことを支援し、より充実した人生を送るための基盤を築くことにもなります。

ソーシャルワークにおける心理社会的アプローチは、このようにクライエントの「受容」と「自己決定」を重視します。これにより、クライアントは自己の問題や困難に対してより積極的に対処し、自己成長を促進することができるのです。ソーシャルワーカーとしては、クライアントが自己の可能性を最大限に発揮できるよう、支援と尊重の姿勢を持続的に提供することが求められます。

心理社会的アプローチの状況の中の人

ソーシャルワークにおける心理社会的アプローチでは、「状況の中の人」という概念が非常に重要です。このアプローチは、個人を単なる問題を抱えた存在としてではなく、その人が置かれている環境や状況と相互作用する中で生きている主体として捉えます。この視点から、私たちはクライエントの抱える課題や困難をより深く理解し、適切な支援を行うことができます。

「状況の中の人」という視点を持つことで、ソーシャルワーカーはクライエント一人ひとりの生活背景、文化、価値観、社会的関係性など、多様な要因を包括的に評価することが重要になります。例えば、クライエントが直面している問題が個人の心理的な側面だけでなく、家族関係や経済的な状況、社会的な偏見や差別など、外部の環境によっても影響を受けている場合があります。このような状況を理解することで、ソーシャルワーカーはより効果的な介入計画を立て、クライエントに適切なサポートを提供することができます。

また、「状況の中の人」という考え方は、クライアントの強みや資源を見出すことにも繋がります。クライアントが持つ内面的な強さや、彼らの社会的ネットワーク、地域コミュニティなどの外部資源を活用することで、クライアント自身が自らの問題に立ち向かい、解決へと導く力を育むことができます。

心理社会的アプローチにおいては、個人を「状況の中の人」として捉え、その人の置かれている環境や状況を総合的に理解することが、クライエントへの効果的な支援への鍵となります。ソーシャルワーカーは、この視点を持つことで、クライエント一人ひとりに寄り添いながら、彼らが直面する困難を乗り越え、より良い未来を築くための支援を行うことができるのです。

パーソナリティの変容

このアプローチの中でも、特に「パーソナリティの変容」に焦点を当てることで、クライエント自身が持つ変化への可能性を引き出し、より良い自己実現へと導くことが可能となります。

パーソナリティの変容を促すためには、クライアントが自己の内面と向き合い、理解を深めることが重要です。ソーシャルワーカーは、クライエントが自己の感情や思考、行動パターンを認識し、それらが現在の問題や生活状況にどのように影響しているかを理解できるよう支援します。このプロセスを通じて、クライエントは自己受容を促進し、自己の課題に対する新たな視点を得ることができます。

また、パーソナリティの変容には、クライエントが自己の価値観や目標について深く考察し、それに基づいた意思決定を行うことも含まれます。ソーシャルワーカーは、クライエントが自身の価値観や目標を明確にし、それに沿った行動をとることをサポートすることで、クライアントの自己実現を促します。

心理社会的アプローチにおけるパーソナリティの変容は、クライエントが自己の内面と環境の両方に対して積極的に関わり、自己成長を遂げる過程です。このプロセスを通じて、クライエントは自己の可能性を最大限に引き出し、より満足のいく人生を築くための力を得ることができます。ソーシャルワークにおける心理社会的アプローチは、このような変容を支え、クライエント一人ひとりが自己実現を果たすことを目指します。

私の体験と実践事例・具体例

冒頭でも少し書きましたが、現在のソーシャルワークにおいて心理社会的アプローチのみで実践するということは少ないでしょう。私の実践歴のなかでも記憶にありません。ケースの一部で取り入れた事例です。

ある入院中のクライエントが院内で問題行動を起こしました。具体例には院内のトイレでの喫煙や無断外泊です。病院のルールから考えるとすぐに退院してもらいたいところです。

ソーシャルワークの視点で考えるとこのクライエントを排除すれば「はい、解決」というわけにはいきません。

まずは「状況の中の人」という視点で考え、まずはクライエントへルールの再説明とルールを守るためにはどのようにしたらよいのか一緒に考えました。

このとき、無断外泊は(タバコを院内で吸ってはいけないことはわかっていたいようです)ダメということを認識していないことがわかったので、改めて外泊するのは病院の許可がいることを周知することを徹底しました。病院からみると無断外泊がだめなことは「当たり前」です。

しかし、クライエントからみたらその「当たり前」は「当たり前」ではないのです。このあたりのずれを極力なくすようにアナウンスの徹底を図りました。

さらに人と状況はそれぞれに影響を与え合っている(相互作用)ので、クライエントの言い分と病院の言い分、またルールの明確化をお互いに確認して問題を解決していきました。

本当であれば、ここでパーソナリティの変容も介入技法のひとつなのですが、なかなか現代のソーシャルワークではここまでやらないのではないでしょうか。もし、実践している事例があれば是非教えてください!

心理社会的アプローチをわかりやすくまとめると

心理社会的アプローチは、個人の内面だけでなく、社会的環境をも考慮し、クライアントのパーソナリティの変容を促すことを目指します。

このアプローチにより、クライアントは自己の感情や思考、行動パターンを深く理解し、自己受容を促進することができます。また、自己の価値観や目標に基づいた意思決定をサポートし、自己実現へと導くことが可能となります。ソーシャルワーカーは、クライアントが自己の可能性を最大限に引き出し、満足のいく人生を築くための支援を行います。

まとめ

  • 心理社会的アプローチは、個人の社会的環境と心理的側面の相互作用に焦点を当てる。
  • このアプローチは20世紀初頭に発展し、心理学と社会学の結びつきから生まれた。
  • フローレンス・ホリスは心理社会的アプローチの基礎を築いた重要な理論家である。
  • ホリスの理論は、個人とその社会的状況との間の動的な相互作用に焦点を当てる。
  • 「受容」と「自己決定」はクライアントの自己成長を促すために不可欠な概念である。
  • クライアントを「状況の中の人」として捉え、総合的な支援を提供する。
  • クライアントの生活背景、文化、価値観など多様な要因を包括的に評価する。
  • パーソナリティの変容は、自己実現への道を開く重要なプロセスである。
  • 心理社会的アプローチは、クライエントが自己の可能性を最大限に発揮できるよう支援する。
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